離婚する際、専業主婦(主夫)や相手の扶養の範囲内で働いていた配偶者は、「年金分割」という手続きを行うことで、65歳以降になるともらえる年金額を最大50%増やせます。

ただ、この制度は自ら進んで行う必要があり、実際の分割金額なども少しわかりづらいのが実情です。そこで、今回は離婚すると将来もらえる年金にどのような影響があるのかを解説していきます。

「年金分割」は離婚時に手続きすると将来の年金を増やせる

まずは、年金分割が一体どのような手続きなのかを見ていきましょう。

離婚後の生活を保障するためにある

年金分割とは、配偶者が将来もらえる年金のうち、婚姻関係が解消されていたとしても最大50%を受け取ることができる制度です。

年金は、大まかにわけて3段の階段構造になっています。一番底にあるのが、日本国民なら全国民に加入義務のある国民保険。そのひとつ上にあるのが、正社員や一定以上の時間働く場合に加入する社会保険(厚生年金と共済年金)。一番上にあるのが、別途年金を納めることで、将来もらえる年金額を増やせる厚生年金基金等です。これらの年金は、一定期間の納付実績があれば、原則として65歳以上になると誰でも支給してもらえます。

しかし、専業主婦(主夫)であったり、配偶者の扶養の範囲内でパートをしている場合、夫婦2人分の厚生年金(社会保険)保険料を納めているのは扶養者。
年金の納付記録は、実際にお金を出している扶養者のものとしてカウントされています。離婚すると、被扶養者は自分で直接保険料を納めていると見なされないので、婚姻関係を続けていた場合の年金受給額よりも金額が減ってしまうのです。

離婚するともらえる年金が減るとなれば、離婚したくても離婚に踏み切れない方が出てくるかもしれませんよね。離婚後、老後の生活が立ち行かなくなってしまうことも。そうした離婚後の生活保障の一環として「年金分割」が生まれました。

分割法は「合意分割」と「3号分割」の2種類

年金分割の手続きは、夫婦が離婚時に話し合い、最大50%を上限に年金の割合を決める「合意分割」と、たとえ配偶者が年金の分割を拒んでいても、自身が請求すれば原則50%の分割を認めてもらえる「3号分割」の2種類があります。

3号分割があるため、「老後の生活が不安…」とお悩みの方も気兼ねなく離婚可能です。

年金分割手続きの注意点

年金分割手続きを行う上で知っておきたい注意点を5つご紹介します。

1.分割の対象になるのはあくまでも厚生年金だけ

年金分割で分割の対象になるのは、国民年金、厚生年金(共済年金)、厚生年金基金などのうち、厚生年金の部分だけです。

仮に、65歳時点でもらえる年金額が、

*国民年金:1ヶ月あたり5万円
*厚生年金:1ヶ月あたり26万円(夫16万円:妻10万円)
*厚生年金基金など:なし

だった場合、分割の対象となるのは26万円の部分です。

年金は最大50%まで分割できるものの、妻が10万円もらい、さらに夫の受給額の50%である8万円が受け取れるわけではありません。夫婦の合算26万円の50%と考え、お互い13万円ずつ年金がもらえるようにするのが年金分割です。

この場合、妻が離婚時に年金分割を行うと、将来もらえる年金額が毎月3万円増えることになります。

2.手続きをしなければ将来の年金は増えない

年金分割を行わなかった場合、妻がもらえる厚生年金額は10万円のままです。自動的に年金を分割してもらえるわけではないので、注意しておきましょう。

3.年金の分割手続きができるのは離婚後2年以内

年金分割の手続きは、離婚日から2年以内と請求可能期限が決まっています。

「とりあえず離婚届を先に出して、それから財産分与の協議や調停・裁判を行う」といったケースでは、いつの間にか期限を超えてしまう場合があるため注意が必要です。

4.社会保険に加入していない場合は無関係

年金分割請求で分割の対象になるのは、あくまでも厚生年金部分のみ。

そのため、そもそも社会保険に加入していない場合は分割できません。

5.年金の受給資格を満たしていない場合は分割しても年金がもらえない

年金を受け取るためには、最低でも10年間保険料の納付か免除を行っている必要があります。

もし、年金の支給開始時点で受給資格を満たしていなければ、分割していても年金はもらえません。

離婚する時は年金分割の請求を忘れずに

専業主婦(主夫)やパートなど扶養の範囲内で働いていた人が離婚する場合、年金分割の請求をすれば将来の年金額を増やせます。

しかし、請求には2年の時効があり、自分で手続きする必要もあるため、離婚時は年金分割を必ず忘れないように請求しましょう。

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